2010年12月22日水曜日

試行錯誤


「神経因性膀胱」による尿漏れにことごとく悩まされている。

神経因性膀胱とは、排尿をコントロールする自律神経がうまく働かない事によって起こる排尿障害で、原因となる疾患は様々だが、主として脊椎損傷、脳卒中、パーキンソン病などがあげられる。
症状は大きく分けて、(1)頻尿と失禁、(2)排尿困難(尿が出にくい)か尿閉(膀胱に尿があるのに自分で出す事が出来ない)の2タイプに分かれる。

私の場合、明らかに(1)のタイプで、原因はもちろん脳梗塞による後遺症である。
とにかく、自分の意思では全くコントロールできない。「トイレにいきたいな」と感じてトイレへ向う途中で尿が勝手に流れ出てしまうのだ。

実はこの尿漏れは入院中にも度々あったのだが、3週間尿カテーテルを挿入した事による尿路感染の影響や、ベッドでの安静時間が長くて骨盤底筋が弱っているからだろう、とあくまで一時的なものであると考えていた。それでも尿パッドを買わなくちゃいけなくなったのは相当ショックを受けた。

ただし、入院中はそれ程頻繁に起こるものではなかった。尿意を感じたら車椅子を必死にこいでトイレへ駆け込めば、何とかギリギリセーフって事が殆どだった。
それが、立ったり歩いたりする練習が増えるようになり、今月の初めに外泊で家に帰って運動量が増えたりした頃から尿漏れしてしまう回数が増えてきた。

この傾向は退院してからさらに強くなり、この1週間はとにかく尿漏れとの戦いであった。
尿意を感じてからトイレへ行っても手遅れになるので、時計を見て2時間置きくらいに早め早めにトイレに行ったり、利尿効果のあるカフェインを含む飲み物を控えたり(コーヒーと紅茶大好きなのに!)、夜は飲む水分量を少なくしたり・・・考え付いた事はあれこれやってみた。
が、もはや毎回と言っていい程尿漏れした。尿パッドで対応できない時もしばしば・・・ 突然尿意を感じても不自由な体ではすぐさまトイレへ駆け込むことも出来ないのも追い討ちをかけている。

退院したからには、積極的に歩く練習をしようと思っていたのに、立ち上がったり歩いたりする度に尿漏れするので、つい座りっぱなし、寝っぱなしになってしまい、これではリハビリも進まない。ましてや外出なんてとても出来ない。

毎日イヤな顔せずに多量の洗濯物を洗濯し、床掃除をし、ドラッグストアへ尿パッドを買いに行ってくれる彼にはただただ申し訳なく、かと言って自分ではどうしようも出来ず、情けないやら悔しいやらで涙して「もう生きたくない」と思ったりもしたけど、意地悪な神様はそう簡単には死なせてくれない。

何とかならないものかと彼がネットで色々調べてくれた(海外のサイトも含む)結果、この神経因性膀胱を根本的に治す薬や治療法はないので、対処療法を受けながら上手に付き合っていくしかないという事が分かった。
タイプ(1)の私は、薬で膀胱の不随意な収縮(過活動膀胱)を抑え、尿失禁をコントロールすることが出来るらしいと知り、早速膠原病の主治医に電話をし、入院中に泌尿器科より処方してもらった『ベシケア』という抗コリン剤を再び処方してもらう事にした。

今晩からこの薬を飲み、様子を見ながら2~3時間おきにトイレへ行くようにして定時排尿の習慣をつけていきたい。そして、尿漏れを恐れずに立ったり歩いたりするつもりだ。今の私には左半身の動きを回復させることが一番重要だから。まだまだ手探りの状態だけど、出来るだけうまく排尿コントロールをして生活の質を上げていきたいと考えている。

生死に関わる問題じゃないけれど、自分の意思で排尿をコントロールできない事がこんなにも大変だとは・・・当事者でなければ分からない辛さだ。
1度完全に麻痺して動かなかった左半身が徐々に動くようになったみたいに、この排尿障害も少しずつでも改善されるといいのに、と願わずにいられない。

2 件のコメント:

96 さんのコメント...

少し前から匿名で読者になっておりました
うら若いお嬢さんが冷静に俯瞰で自分をみつめて凄いです
がんばれ!!

creo さんのコメント...

>96さん
初めまして。
以前よりこのブログを読んで下さっているそうですね。
病気まみれの私ですが、日々出来る事をこつこつやるしかないと思って頑張っています。
コメントもありがとうございます。

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