退院日までお世話になった車椅子 |
脳梗塞を発症してから今日でちょうど3ヶ月経った。
ようやくって気もするし、もう3ヶ月、という気もして複雑な思いがする。
退院してまだ1週間弱だけど、つい目の前にあるやりたいことばかりやって肝心のストレッチやリハビリはサボり気味・・・私の悪い癖です。
彼にも「やる事の優先順位があべこべになってるんじゃないの?」って叱られたし(その通りです)、気持ちを入れ替えなくて真剣に体のメンテしなくちゃ。
さて、ここからはリハビリの話。
脳卒中(脳梗塞や脳出血に代表される脳の血管障害のこと)を発症した後の回復期は、発症後約3ヶ月がピークで、その後はゆるやかに減退していくとされている。それ故、リハビリは急性期を過ぎたらすぐに始める事が後遺症を極力残さないために重要だとされている。ちなみに、脳卒中後のリハビリは所謂、怪我をした後に行うリハビリとはアプローチの仕方が全く違う。
例えば、脚を骨折した人が行う治療とリハビリは、折れた骨がくっつくのを待ってから、衰えた脚の筋肉に徐々に負荷をかけながら筋肉を強くし、平行棒や松生杖を使って少しずつ歩いて慣らす、というのが主なリハビリ。
では、脳卒中を発症した人のリハビリとはどんなものか。
それは、脳のどの場所に梗塞(こうそく:血管が詰まる事)や出血が起こったかによって、障害の種類が異なるのでリハビリの仕方も患者ごとに異なるのだが・・・
私の場合、脳幹部に梗塞が起こり左半身が麻痺した(触られているのは分かるし、痛みや温度は感じるが、自分の意思で体が動かせない)のだが、これは梗塞によって脳からの指令を左半身に伝える回路が死んでしまった事に起因する。
だから私のリハビリは失われた回路に代わる新しい回路を作る事、パソコンに例えるなら壊れたソフトの代わりに新しいソフトを入れてやる、という作業がリハビリになるのだ。
つまり回復期に入って体が少しずつ動くようになっても、その動きにまかせて動いていれば自然に以前のような動きが戻ってくるわけではない(何しろ体を動かす為の回路は死んでいる)ので、リハビリはこの点を踏まえて行わなければならない。
正しい(ここでは普通の人が見て違和感のない自然な、という意味)動きをきちんと体に入力しながらリハビリしないと、麻痺特有の癖のある動きが残ったままになるので、脳卒中後のリハビリは「正しい動き」を常に意識しながら行う。例え上手く動かすことが出来なくても、そう動いているとイメージしながら体を動かす事が非常に大切なのだ。
私が脳梗塞を発症してからの数日は、溶血剤を点滴で流し、飲食も禁止、出来るだけ頭を動かさずに寝たきりで血栓が流れるのを待った。そしてMRI検査で梗塞がなくなったのを確認した後、すぐにリハビリが開始される。
全く動かない体でどういうリハビリをするのか??
まずはベッドの上でリハビリの先生が私の手足を動かす他動運動に合わせて、まるでその動作を自分で行っているかのようなイメージを膨らますのが最初のリハビリだった。
そんな雲を掴むようなトレーニングで本当に体が動くのか半信半疑だったけど、ともかく動く事を信じてイメージトレーニングをし続けた。
そうこうする内に体に動きが少しずつ出てきたのだ!
体が再び動くようになったこの嬉しさは半端ない!人間の体ってすごいなぁと自分自身の体に感動した(笑)。リハビリの先生が言った通り、最初は下半身が動くようになり、その1週間半後くらいに手が動くようになってきた。
10/13 リハビリセンターでのリハビリ開始 |
手のリハビリはOT(作業療法)の先生の指導で行う。
物を掴むとそれを離すことが出来ない、つまり力を入れたり抜いたりする脳のスイッチがうまく働かない為に起こる現象を解決するべく、様々な道具を使って力の入れ方の加減などを習得するリハビリを行った。
脚や体全体のリハビリはPT(理学療法)の先生の指導によって進められた。
半身麻痺によって生じる「体の左右差」を矯正しながら、バランス感覚を養うトレーニングや、弱くなった体幹部の筋肉を強くする筋トレをしつつ、平行棒を使って少しずつ歩く訓練をしていく。
リハビリセンター(PT)の様子 |
そんなこんなで3ヶ月経たない内に退院させてもらったのだけど、現在は手の動きは大分いい感じで、ゆっくりだけどPCのキーボードは打てるし、軽い物なら掴んだり持ったりする事は可能になった(但し、持久力はないのですぐに疲れて動かなくなる)。
でも、洗髪や洗顔を両手で行うのはスムーズに出来ないし、爪も切れないし、不便さはまだ感じる。
問題は脚、「歩行」である。
何とか動いているものの、自分が求める「不自然じゃない、フツーの歩き方」にはまだ程遠い動きなのだ(涙)。左足の膝裏をまっすぐに伸ばして歩きたいのだけど、伸ばそうとすると力が抜けてがっくんと膝が曲がってしまう。これも膝の表と裏の筋肉の伸び縮みの調節の仕方を脳がきちんと認識できないから起こる現象だと思われる。
注文した杖が届いたら綺麗な歩き方の練習をしたいと考えている。
早めに退院させてもらって自宅でリハビリできるのも彼が常に在宅しているからこそ。
私のワガママをいつも聞いてくれて、最大限のサポートをしてくれる彼に感謝!!
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