2012年1月10日火曜日

南部せんべいと祖母


昨日、年末年始に長野へ帰省した妹から信州の野菜や餅などをお裾分けしてもらったのだが、その中に「南部せんべい」も入っていた。

父は青森県八戸市の出身で、南部せんべいはそこの名物である(東北名物と言うべきか?)。
昔からあるのはごまと落花生入りのもの、「せんべい汁」に入れるのは白煎餅で何も入っていない真っ白なものだ。これは汁に入れると独特の食感になって美味しい。

見ての通りパッケージも中身も素っ気ないのだけど(笑)、薄くパリっとした硬さのあるこのせんべいは、噛む程に小麦や落花生の旨みがじんわりと感じられて何とも味わい深い。
もっともその旨さが分かるようになったのはここ数年の事だけど・・・子供の頃はあれば食べたけど何とも思わないおやつだった(洋菓子の方がずっと魅力的だった)。
どうやら年を取るごとに食の好みはひたすらシンプルなものへ移行しているようであります。
見た目ばかりに力を入れたお土産品が多い中、このせんべいは堅実に素朴な味を守り続けているように感じる。機会があったら是非食べて欲しい。

八戸と言えば・・・祖母のこと。
母が99年の1月に亡くなり、同じ年の夏に祖父が亡くなり、それ以降祖母は八戸のオンボロ借家で一人暮らしをしていた。
10年くらいは「ずっと暮らしてきた八戸から離れるつもりはない。息子にも誰にも迷惑かけたくないので、いざとなったら自分で施設に入る」と言ってたのに、昨年のあの震災以降すっかり気落ちしてしまったらしい。八戸は津波の被害も受けたし、祖母も一時は避難所生活を強いられた。そんな状況の中で独り気丈に頑張る事がしんどくなったのだろうか。
昨年の夏頃から長男である父に「独りは嫌だ。長野へ行きたい」と度々電話をしてくるようになったと言う。父は「墓をたたんでこっちに来ればいいよ」と返すのだが、一向にそうする気配がない。どうも痴呆が入ってしまい、一人では何も出来ない状態になってしまったのだ。

結局、父が八戸へ出向いて墓(遺骨の移動)や銀行口座の移動など諸々の手続きと引越しを手伝い、祖母は秋から父と一緒に長野で暮らし始めた。
父とのメールや電話でのやりとりで祖母の話を聞くにつけ、祖母は別人になってしまったかのように思える。昔の事はよく覚えていて何度も同じ事を言うけど、新しい事がちっとも覚えられない・・・というより覚える気力がないらしい。帰省した妹の話によると生活の殆どの事を父に任せっきりですっかり甘えきっているようだ。こうなると祖母より父が大丈夫かと心配になる。

自分が年を取るという事は、周りの人間も年を取っているという事。
至極当然の話なんだけど、最近は祖母の事や彼の家族の事で色々あって己の事だけを考えて生きてるわけにいかないのだな・・・と今更ながら考えさせられる。
家族それぞれが体が動いて元気な時は問題ないけど、老いや病で自由がきかなくなった時にどうやって助け合うか。それに加え自分達の将来や老後の事も考慮せねばならない。
35歳、こういう事をリアルに考える年頃なんです。ずずずーーんと重い。

せんべいをバリバリ食べながら、つらつらとそんな事を考えてしまった。
今日のブログは完全につぶやきですな(苦笑)。

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