2025年9月30日火曜日

今月読んだ本


2024年11月に出版された、6年ぶりの最新作


7月終わりから読み始めたM.W.クレイヴンの作品を一通り読み終えたので(最新作はまだ図書館にない)、今月中頃からは日本人作家の小説をぽつぽつ借りて読んでいる。
中でも原田宗典の小説、「おきざりにした悲しみは」は面白かった。春先にたまたまネットでこの作品についての記事を読んで興味を持ち、早速図書館に予約を入れたものの既に50数人待ちの状態だった。先日ようやく私の番が回って来て本を手にした。

物語のあらすじはこんな感じ↓
65歳の主人公、長坂誠は東京郊外で物流倉庫でのバイトをして日々をやり過ごしている。ある日、同じアパートに住む中学生の姉と小学生の弟と出会う。彼らの母親は半月ほど前に1万円だけ置いて家を出て行ったきり帰って来ず、電気や水道を止められた部屋で姉弟は困窮していた。長坂は親切心から彼らを自分の部屋に招き入れ、奇妙な共同生活が始まる。そんな中で長坂は自分の人生を振り返りつつ、少しずつ生きていく気力を得ていく。そして姉弟の人生にも大きな転機が訪れる・・・

恐らく長坂誠のモデルは作者自身。長坂には原田氏がこれまで体験して来た事が沢山詰まっているのだろう、妙なリアリティがある。重くなりがちなエピソードも原田氏らしいどこかユーモラスのある文で暗くなり過ぎず、時々くすっと笑いながらどんどん読めてしまう。物語の後半は思いもよらぬ出来事が続き、未来への希望を感じさせるエンディングで幕が下がる。
20云年ぶりに原田氏の小説を読んで、あぁこういう感じの文章だったなぁと懐かしく、素直に面白かった。人生にくたびれた人に元気を与えてくれるような作品。


<今月読んだ本>
・M.W.クレイヴン/ボタニストの殺人 下(原題:The Botanist)
・河合隼雄/こころの処方箋
・文學界 2025年8月号(雑誌)
・川手鮎子/心も体ももっと、ととのう薬膳の食卓365日
・M.W.クレイヴン/恐怖を失った男(原題:Fearless)
・原田マハ/異邦人(いりびと)
・谷川俊太郎/今日は昨日のつづき-どこからか言葉が
・原田宗典/おきざりにした悲しみは
・東京 暮しの手帖社/台所と暮らし
・レベッカ・ブラウン/体の贈り物(原題:The Gifts of the Body)
・イリナ・グリゴレ/みえないもの
・原田宗典/メメント・モリ
・ジョルジュ・シムノン/サン=フォリアン教会の首吊り男(原題:Le pendu de Saint‐Pholien)
・原田マハ/やっぱり食べに行こう。

2025年9月24日水曜日

殿ヶ谷戸庭園(随冝園)


奥の洋館は岩崎家の別邸


先週終わりから朝晩の気温がぐっと下がり、ようやく秋らしい陽気になった。
紅葉にはまだ早いけれど秋の気配を感じたくて、国分寺駅から徒歩2分の場所にある殿ヶ谷戸庭園(とのがやとていえん)へ行く。約22年前に友人らと一緒に訪れて以来の再訪。


紅葉亭の周りのもみじはまだ青い


入場料150円を払って庭園に足を踏み入れると緑がいっぱい。
トンボが飛んでいるのは秋らしくて良いのだけど、日陰には蚊が飛び回っていて怖い。鳥の鳴き声に混じって何故かツクツクボウシの鳴き声、そして鹿おどしの音も聞こえる。
地図を見ながら紅葉亭と呼ばれる茶室まで行くと、おぼろげに友人達とここで話をしたっけ・・・なんて昔の記憶が蘇って来た。でも殆ど何も覚えてないんだよな~(苦笑)。


湧水を利用した池には鯉が泳いでいた


<殿ヶ谷戸庭園の歴史>
大正初期に江口定條が別荘を構え、「随冝園(ずいぎえん)」と命名。
その後、昭和9年(1934年)に岩崎彦彌太が江口家から別荘を買い取り、和洋折衷の木造主屋や茶室を建設し、回遊式林泉庭園を完成させた。
昭和49年(1974年)に都が買収して整備し、「殿ヶ谷戸庭園」として開園。庭園の名称は、昔この地が国分寺村殿ヶ谷戸という地名であったことに由来する。


秋は美しい紅葉が見られるはず


紅葉亭から急な下り坂を気を付けながら降りると、次郎弁天池があってその周りにもみじが沢山植えられていた。池の水源である湧水は古くは「次郎弁天の清水」と呼ばれる名水だったそうで。毎分37リットルの湧水が池に注がれているらしい。確かに水が透明だった。



池を過ぎると左手に竹林があり、「竹の小径」と名付けられた道を歩く。
緑の中を歩くのは気持ちがいいけど、蚊が気になるので早く日向に出たくて先へ進む。秋の初めにこんなに蚊って飛んでいたっけ?虫よけスプレー持ってくるべきだったな。




所々に彼岸花が咲いていて緑の景色の中に色を添えていた→

日の当たる道へ出ると突然、目の前をひゅーっとトカゲが走り去っていってびっくり。その次は長くて太いイモムシが地面を張っているのを夫が見つけてまたびっくり。蚤の心臓だから心臓バクバク。


家を出る時は肌寒くて長袖を着て来たけど、日が高くなったら半袖でOKな暑さになっていた。そろそろお腹も空いて来たし、庭園を出てお目当てのカフェへ向かう。


崩壊寸前のキッシュ、左奥はサラミトマトサンド


公園のすぐ脇にある坂道を下り終えた所にあるカフェに到着。
こじんまりとした店内のカウンターに座る。ショーケースに並ぶスウェーデンのペイストリーに目が行くも、食事になりそうなサンドイッチとキッシュ、それとカフェラテとカプチーノを注文。

10分ほど待った割りにはキッシュはかなりぬるく、フォークを入れたら見事に崩れた。水気が多くて下のタルト地も形をなしていない。味付けは悪くなかったけど、これが作り手の意図した通りのキッシュなんだろうか。コーヒーも薄く、店員もやる気なさげで残念な感じ。



国分寺駅(南口)


先日のかっぱ橋で入ったカフェに続いてまたもやハズレだったか・・・と自分のリサーチ力の無さに落胆しつつ、長い坂道を上って国分寺駅へ戻る。電車で吉祥寺へ移動し、自然食の店とB²(ビースクエアード)で買い物してから家へ戻る。


ドーナツは夫とシェア。プリンは私だけ。


気温28度近くまで上がって汗をかいたので、まずは冷房入れてクールダウン。
それから夫の淹れてくれたカフェオレとB²で買ってきた和三盆ドーナツ、自分で作ったプリンで一息つく。初めて食べたB²のドーナツはふんわりして美味しかった。

庭園はそれ程大きくない上に蚊が気になってささっと見ただけだし、カフェで長居もしなかったので国分寺には1時間ちょっとしか居なかった。それでも普段あまり行かない場所に行くと色々な発見があって楽しい。
万歩計は8,759歩をカウント。駅の長い階段、高低差のある庭園、長い坂道を上ったり下りたりして脚にかなり負荷がかかって運動になった。ピリピリとした痛みが腿にあるけど、単なる筋肉痛だけで済みますように。

2025年9月17日水曜日

15周年




いやはや、9月も半ば過ぎたというのにこの暑さ・・・年々夏が延びている気がする。
午前中ワクチンを打ちに行き、図書館へ寄って本を返してから予約しておいた本を借りて帰宅。これだけで頭から上半身まで汗が流れ落ちる。いい加減に涼しくなって欲しい。

さて、脳梗塞を発症して今日でちょうど15年が経った。
久々にあの頃のブログを見返して色々な事を思い出した。当時は思うように動かない体に悪戦苦闘し、試行錯誤の日々だった。
今や普通に生活しているけど、相変わらず左半身が右半身と同じように動かせているのか、常に左を意識して行動している。未だに左足の指はほんの少ししか動かせないし、立ったり歩くときに勝手に力が入るせいで指の関節が変に曲がったままだけど仕方ない。左手の指もやはり動きが鈍いけど、利き手が右だからそれほど困ることはない。妥協も必要だ。

ともかく家で夫と一緒に日常が過ごせ、自分の足でどこへでも行けるのは素晴らしいこと。食道癌が治った今は、ごはんを美味しく食べられる事にも幸せを感じている。何と言っても旨いものを食べる為に生きているようなものだから(笑)。 そして私の長い病気人生に付き合ってサポートし続けてくれている夫には感謝しかないです。ありがとうね。

話変わって。
昨日辺りから喉に違和感があり、朝から頭が痛い。暑いはずなのに体温が低い。
もしかして風邪?・・・と少しビクビクしている。さっき飲んだ梅肉エキスのお湯割りが効いて治ってくれるかな。暑いとはいっても季節の変わり目だから気を付けないとね。

2025年9月11日木曜日

かっぱ橋道具街


かっぱ橋道具街の入口


「くもりのち雨」の予報だけど、傘を持たずにかっぱ橋道具街へ出掛ける。
銀座線の田原町駅から地上へ出ると強い日差しが降り注いで暑い。浅草通りを西へ歩いて行くとビルの上に鎮座するニイミのおじさんが見えて来た。久々の再会だよ。


和食器を専門に扱う店


かっぱ橋道具街は約800Mに渡って南北に伸びる商店街。調理器具、厨房用品や備品、食に関係する専門店が約170店舗も並んでいて、料理好きなら見るだけでもワクワクする通りだ。 買いたい物を記したリストを手にし、予め調べておいた店を中心に見ていくことにする。


抜き型、せいろ、木製品など様々


一番欲しかったのはペッパーミルだったのだけど、置いてある店が少なかった。しかもフツーに定価で販売されている品が殆ど・・・以前来た時は卸価格で安く買えたような?記憶違いかも。他にも製菓道具を扱う店を何軒か覗き、ステンレスのプリン型を購入した。


食品サンプルを扱う店


外国人観光客で賑わっているだろうと思った食品サンプルの店には意外にも閑散としていた↑
その代わり包丁やナイフを扱う店には外国人が多く入っていた。店員が外国人、という店もちらほらあった。日本の包丁は人気らしい。


縦長の店内、2Fもある。空いていて良かった




歩き疲れたので通り沿いにあったカフェに入って一休み。

私はカフェラテ、夫はフラッとホワイトを注文。ちょっと薄いかな。ここは美味しい!って店はなかなか無い。

浅草通り


休憩して体力が回復した後、もう何店舗か覗いてかっぱ橋の散策終了。 リストアップした品は一つも買えなかったけど、色々な物を見れて面白かった。
帰りは上野駅まで歩く事にし、浅草通りを更に西へ進む。この通りは仏壇や仏具を扱う店が並び、古い建物も所々に残っているので下町らしい景色も見れた。


下谷神社(したやじんじゃ)


途中、交差点の端に鳥居が見えたのでその奥にある下谷神社へ寄ってみた↑
古い神社だな~と思って帰宅後に調べたら、奈良時代に創建された都内で最も古い神社らしい。本殿の手前にドライミストが設置されていて少しだけ涼しかった。


いつものJr.チーズバーガーデラックス


ようやく上野駅の手前にあるウェンディーズに到着し、バーガーランチ。
この店のバーガーはバンズもパテも温かく、野菜もシャッキっとしていて美味しかった。フライも熱々だったし、よく行く日比谷や新宿店とは随分違ったぞ。毎回こうであって欲しいね(笑)。



上野駅。いつの間にか「UENO」なんてオブジェが設置されていた↑


ウェンディーズを出た頃には空に雲が広がり始めていて、これは予報通り雨が降りそうな気配・・・って事で寄り道せずに家に戻った。それから30分もしない内に雷がゴロゴロ鳴って、激しい雨がバチバチ音を立てて降って来てびっくり。雨が降る前に帰れて良かった。

ブログに記事がないから恐らく18~19年ぶりに行った、かっぱ橋道具街。
商品が沢山あり過ぎて迷い、結局買ったものは少しだけ、というのは前回と同じだったな。
何だかんだ歩いて万歩計は9,958歩をカウント。
見知らぬ通りを夫とあーだこーだ言いながら歩けて楽しかった。

2025年9月9日火曜日

栗節句/本日のおやつ


栗鹿の子(左)と重陽(右)


先日の台風15号が去って涼しくなるのかと思いきや、まだ日中は35度近くあって夜も気温が下がらないので寝苦しい。今朝は3時半頃から頭の痛さで目が覚め、その後なかなか寝直せなかった。何が原因なのか・・・YouTubeでまるの動画を見まくったせいか、読書のせいなのか。

起床してからロキソニンを半錠飲んで、首肩凝り解消のヨガをやっている間に夫が新宿へ出掛けて色々買ってきてくれた。リチュエルのパンで簡単ランチにした後は、虎屋の生菓子を頂く。


重陽の断面


本日9月9日は重陽(ちょうよう)、栗節句とも呼ばれてこの日に栗を食べる習慣があったそう。
その名も「重陽」と「栗鹿の子」の2種類の生菓子を夫とシェアして味わった。
栗の形をした重陽は桃山製で中に刻んだ栗が入りの栗あんが入っている。優しい味わいだけど、夫が言うには生地に入っている卵の匂いが気になって美味しくないそうな(苦笑)。確かに栗のほのかな香りより卵臭の方が勝ってはいた。ともかく栗の季節の到来ですよ。



表紙からハードボイルド?


午後になって頭痛が少し和らいだので読書の続き・・・と思ったのに30分も読んでいたらまた首の後ろから肩、背中にかけて筋肉が張って来てギブアップ。目の奥も痛いんだよなぁ。
今読んでいるのはワシントン・ポー シリーズの著者、M.W.クレイヴンの新しいシリーズの第一作目「恐怖を失った男(原題:FEARLESS)」。

舞台はアメリカ。主人公はウルバッハ・ビーテ病という珍しい脳の病気で恐怖を感じない男、ベン・ケーニング。ある事件の後、連邦保安官を退任して6年間身を隠していたベンは、かつての上司から行方不明になった一人娘の捜索を依頼される。依頼を引き受けたベンは危険を顧みずに事件に足を踏み入れていく・・・てなストーリー。
まだ1/3しか読んでいないけど、ベンはまるでジェイソン・ステイサムが映画で演じるような、寡黙で頭が切れるタフガイそのもの。そんな男がダイナーでは必ずミルクシェイクを注文するのにはウケる(笑)。これから先の展開が楽しみ。

早く読みたいけど頭が痛くなるから少しずつしか読めないのがもどかしい。ワシントン・ポー シリーズもそうだけど、M.W.クレイヴンの本は1冊がめちゃ厚い。今回の本も全703Pもあるよ。ハードボイルド・アクションが好きな人にお勧めです。

2025年9月6日土曜日

さよなら、まる


今年4月に発売されたエッセイ本


長年YouTubeでその姿を見続けて来た猫、まるが本日亡くなった事を、まるの飼い主であるmugumoguさんのブログで先ほど知った。
今年5月の誕生日で18歳になったまる。昨日UPされた動画でもいつものようにブランコに乗っていたから元気だと思っていた。突然の事でただただショック。

ブログによるとmugumoguさんがまるの異変に気付いたのは先月半ばとの事。それから8月31日に病院へ連れて行ってからはあっという間に容態が悪化して今朝、家族に見守られて最期を迎えたそう。昨日の動画は数ヶ月前に撮った映像だったらしい。

飼い主もまるファンも、いつか別れの時が来る事は分かっていたけれど・・・やはり寂しい。
好奇心旺盛でのんびり屋でもあり、頑張り屋でもあったまる。動画を通してその姿に笑いや癒し、元気をもらったよ。ありがとう、まる。安らかに眠ってね。

2025年9月3日水曜日

外来日


日陰に咲いていたハイビスカス


朝から強い日差しが降り注ぐ中、病院へ向かう。
ここ最近はセミの声が聞こえなくなり、空には鰯雲が広がり、トンボが飛ぶようになって少しずつ秋の気配を感じ始めているけど、まだまだ暑い。昨日も37度もあったし。

病院に着くとロビーが人で溢れかえっている。地下の検査室へ行くとこちらも混雑してて採血に30人待ちだって!混雑にはうんざりしたものの、採血はすごい上手い人に当たって全然痛くなかった(嬉)。尿検査は家で採尿して受付にスピッツを渡しただけ。
膠原病科へ行くとやはり混んでいて席がほぼ埋まっていた。電子問診票に入力して血圧を測った後は本を読んで1時間半ほど待つ。昨日は丸一日頭が痛くて本を開けなかったけど、今日はこの待ち時間で大分読み進められた。病院の待合室の椅子は読書に向いている気がする。

診察室へ呼ばれ、主治医に体調に変わりがないか訊かれる。次に検査結果を見ていく。
尿検査では前回(2+)だった尿蛋白は陰性だった。中間尿で採ったせいかな、良かった。
血液検査では抗DNA抗体は5.9→5.9 IU/mLで変わらず。CK値も330→333 U/Lで横ばい、LD、アルドラーゼは基準値よりやや高いまま。リンパ球とCRPは今年初めて基準値に収まっていた。

CK値がずっと高いのは癌で体重が落ちて筋肉が細くなった分、負荷が余計に掛かっているせいかもしれない、と主治医。外を歩くとすぐにバテるのはそのせいなのかも。やはり徐々に運動して筋肉を付けた方が良いんだろうな。筋肉を壊し過ぎないように運動する、ってのが難しい所。

色々な項目の値が高くなっているので今回もプレドニンの減量はなし。しばらく値が落ち着くまではその方が良いと私も思う。次の予約を入れて診察終了。
会計もやたら待たされて結局家に着いたのは14時前。外で汗だくになって電車や病院の冷房で冷やされ、の繰り返しで体力を削られた。次の外来は混んでいませんように。