文庫で597ページ、読み応え有り |
今月は風邪を引いたり体調がイマイチな日が多かったせいか、写真や絵が入った緩く読める本に食指が動いた。そんな中、原田マハの「リーチ先生」は分厚い本だったけど面白くて数日で読めた。
「リーチ先生」はイギリス人の陶芸家、バーナード・リーチを指す。
日本とイギリスの架け橋となるべく来日した若きリーチは柳宗悦を始めとする白樺派の人々に出会い、やがて富本憲吉と一緒に体験した楽焼の絵付けをきっかけに陶芸にのめり込んでいく。 そんなリーチの半生を彼の助手になった沖亀乃介とその息子の眼を通して描かれた作品。
史実を元にしたフィクションながら、陶芸を極める事に情熱を傾けたリーチとその友人達の交流が丁寧に描かれていて、国や人種を超えた熱き友情に思わずウルっとしまう事もあった。
私のように絵や映像で記憶するタイプの人間には、Wikiなんかで経歴を読むよりも、こうしてストーリー仕立てで読む方が人間関係やその時代背景を頭に入れやすい。
「民藝」という言葉が造られて今年でちょうど100年経つそうで。
年を取るごとに大量生産品ではない、味わい深い手作りのものに惹かれる。美しいと思うものを身近に置いて使っているけど、それは自然と民藝の概念を受け入れていた事になるのかな。
民藝について少し齧った所で、日本民藝館を再訪してリーチの作品を見てみたくなったよ。
<今月読んだ本>
・向田邦子/父の詫び状
・天然生活 2025年3月号/特集:心と体をゆるめる習慣(雑誌)
・くますけ/エナガの重さはワンコイン-身近な鳥の魅力発見事典
・萩原健太郎/にっぽんの美しい民藝
・原田マハ/リーチ先生
・マージェリー・アリンガム/ホワイトコテージの殺人
・ウー・ウェン/ウー・ウェンの毎日黒酢
・加藤節雄/バーナード・リーチとリーチ工房の100年-海とアートの街セントアイヴスをめぐる
・バーナード・リーチ/陶工の本(←陶工向けの専門書でパラパラ見ただけ)
・ミネット・ウォルターズ/囁く谺